こんにちは、たぱこです(^^♪
10年以上前に毎月分配型の投資信託が一世を風靡した時代がありました。
毎月口座に払い出される分配金がまるで打ち出の小づちのように思えて「年金の足しに」と考えて購入された方、たくさんいたと思います。
果たしてこの投資信託は本当に打ち出の小づちだったのでしょうか?
そんな毎月分配型の投資信託について解説します。
毎月分配型の投資信託とは
日本証券業協会より引用
- 毎月分配型の投資信託は、1ヵ月ごとに決算を行い、収益等の一部を収益分配金(分配金)として毎月分配する運用方針になっています
- このような運用方針であるため、「投資信託の運用を続けながら、運用成果だけは毎月こまめに受け取りたい」というような投資家のニーズに合った商品といえます
- ただし、分配金については、毎月の分配や分配金額が保証されているものではありません
- 毎月分配型の投資信託への投資にあたっては、次に説明します「分配金の仕組み」を正しく理解することが重要です
ちなみに私もかつてこの分配金に引き寄せられた一人でした💦
最初のうちは、確かにちゃんとお金を生み出す運用でした。
ですが、時代の変化とともに、運用でその利回りを出すことが難しくなり、その分配金は生み出した利益だけでなく自らの資産を削って出すという、いわゆる「たこ足分配」となっていきました。
「自分の足を餌にしているたこ」と同じ、ということです。
図にするとこんなイメージ↓
純資産総額4位「ピクテグローバルインカム株式ファンド」について解説します
こちらは日本の投資信託の純資産総額ランキングになります。
2022年1月7日現在でも資産残高4位の「ピクテグローバルインカムファンド(毎月分配金型)を例に説明していきます。
特色① 主に世界の高配当利回りの公益株に投資します
特色② 特定の銘柄や国に集中せず、分散投資します
特色③ 毎月決算を行い、収益分配方針に基づき分配を行います
世界の電気やガス、電話、通信など公益性の高い株式会社の生み出す配当金を収益分配方針に基づいて分配しますよーっていう投資信託になります。
公益性の高い会社だとなんだか安心ね
ということで、正直、金融商品の販売側としては大変販売しやすい商品です。
こちらが設定来の基準価格の推移になります。
赤いラインが分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価格。
緑のラインが分配金を受け取った後の基準価格(こちらが公表されている基準価格になります)
分配金が運用に生み出された分だけ払われるものならば、緑のラインは赤いラインと並行になります。
ですが、生み出される利益以上に自分自身の身を削って分配を出しているので、基準価額は赤いラインに反して右肩下がりになっています。
直近半年は、毎月1万口あたり、30円分配しています。
要は本来30円も利益がでていないのに、30円出しています。
だから、どんどん投資信託の基準価額が下がっていきます。
投資信託は基準価額が上がってこそ、運用の価値がでる、というもの。
この投資信託の収益分配方針の目的は一体どこにあるのでしょうか???
投資家に対して、運用で利益を出すよりも、定額で分配金を受け取れる方が喜ばれる、と考えているのでしょうか?
金融庁の見解
金融庁は見かねてこんな通達を出しています。
投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について
一言でいえば、毎月分配型投資信託は顧客本位ではない、ということです。
このレポート、是非、リンクからご覧ください。他のこと、例えば販売手数料などについても色々指摘していて、金融機関の販売体制の闇をついてますよねー。金融庁は金融機関ではなく、私たちの味方だな、と感じました。
ずっと保有していれば利益がでますか?
私の銀行時代のお客様もたくさんこういった毎月分配金型の投資信託を保有されていた方がいました。
だいたい、収支はマイナスかトントンでした。
お客様は「もう少し持っていれば、分配金の合計も含めればプラスになるのでは」と考えている方が多かったです。
【事例】
例えば100万円投資したとして、分配金の合計が30万円、基準価格が70万円に下がっていたとします。
この場合、プラスマイナスゼロの利益です。
ですが、当然当初の100万円の生み出す分配金よりも70万円の生み出す分配金は小さくなりますね。
ということは、よほど運用がうまくいって投資信託にプラスが出た場合を除いて、生み出す分配金はどんどん小さくなりますので、保有を続けてもなかなか資産全体がプラスになるのは難しい、と思われます。
分配金を求めるならば、投資信託ではなくETFがお勧め
今は投資信託やETFが顧客本位にどんどん進化しています。
投資信託は分配金が払い出されず、自動的に再投資して複利効果で長期資産形成する目的での利用に向いています。
今、使いたい分配金が欲しい投資ならばETFという金融商品がお勧めです。
- ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
- ETFは税法により、決算期間中に発生した利子や配当などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を分配することになっています
ETFの説明まですると長くなるのでここでは割愛しますが、ETFは投資信託と違い、発生した収益分だけしか分配しません。
株式の配当金と同じですね。
その代わり、利益の大小によって分配金の額は上下します。
ですが、これが分配金の正しい形かなと思います。
まとめ
毎月分配型の投資信託の仕組みについて解説しました。
金融庁が「いかがなものか」と提言しているような形式の投資信託が、今だに純資産残高4位の規模を誇っているのが不思議でなりません。
ただ、誤解しないでいただきたいのはこの「ピクテグローバルインカムファンド」の対象投資先や運用自体を否定するものではありません。
分配金再投資した場合の赤いチャートはきちんと右肩上がりになっているからです。
毎月得ることができる投資効果以上に自分の身を削って分配金を出す投資信託の仕組みが問題なのです。
金融機関のセールストークに惑わされず、正しい知識で運用商品を選んでいきたいですね。
投資信託だけでなく、ETFの種類などについてもお話できます。お気軽にお問い合わせください。
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