不動産

「売れない郊外の土地」についての相談事例

たぱこ

こんにちは、たぱこです(^^♪

1980年~1990年代にかけてのバブル全盛期に株価や土地の価格がぐんぐん高騰していたことがありました。

割と普通の方でも別荘地やリゾートマンションを皆さんが購入していたこと、たぱこも記憶にあります。

乗り遅れてはいけないわ!土地、買っておきましょう!

だけど、その後バブルは崩壊。

値上がりを期待して購入した土地はまったく利用されず、お困りの方いらっしゃいませんか?

今回はそんな時に購入された「売れない土地」についてのご相談になります。

救世主となるかもしれない法律ができましたのでご紹介します。

ご相談内容 どんな土地?

  • ご相談者様のお母さまが所有、お母さまはまだ健在であるが、いずれ起こる相続で誰がその土地を承継するか兄弟で揉めそう
  • 別荘地というより山林に近い(土地の価値はほぼなし、固定資産税もない)
  • 不動産業者にあたってみたが、購入してくれそうな人はいないとのこと
  • 地元自治体に無償提供を申し出たが、無理との回答
  • 相続放棄も考えているが、放棄しても管理義務は残り、完全には逃れられないとインターネットの記事で調べたとのこと

かなり、ご相談者様、いろいろ調べられてますね。

私の銀行時代のお客様にもこういった土地をお持ちの方、たくさんいらっしゃいました。

今回の土地については固定資産税も管理費も発生しないのでまだいい方ですね。

まったく使っていないのに維持費だけがかかって困る、というお話はよく聞きました。

土地を買えば必ず価格が上がる、というバブル神話に踊らされてしまった残念な遺物です(泣)

相続放棄をしても土地の管理義務は残る

相続の方法

あの土地だけいらないのよ、相続放棄したらいいんじゃない?

とまずは考えますね。

でも、相続では負債やいらないものだけを放棄することはできません。

  • 単純承認・・プラスの資産も負債も含めてすべての財産を相続する
  • 相続放棄・・プラスの資産も負債も含めてすべての財産の承継を拒否する
  • 限定承認・・プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を支払うことを条件に財産を承継する

一見すると限定承認がよさそうですが、この手続きはとても複雑で時間もかかるので、ほとんど利用されていません。

相続が発生した場合、相続が発生したことを知った日から3か月以内に選択しなくてはならないので、事前に考えておいた方がいいと思います。

相続放棄をしても管理義務が残る現実

現実には要らない土地だけが資産、ということはないと思いますので相続放棄は選ばれないかと思います。

しかしながら、相続放棄をしたとしてもなんと不動産の管理義務が残ってしまうのです。

民法940条

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

要は次の管理者が決まるまではあなたが管理してくださいね、ということになります。

これでは放棄する意味なないですね・・・。

相続土地国庫帰属法

こんなお悩みに朗報です!

2021年4月に相続土地国庫帰属法が成立しました。

相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度

2023年4月27日から段階的に施行されます!

相続又は遺贈により土地の所有権を取得した人だけが利用できます

要件は?

簡単に言うと「抵当権等の設定や争いがなく、建物もない更地」ということになります。

具体的には下記の10項目にいずれも該当していないことが要件です。

  1. 建物がある土地
  2. 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  3. 通路など他人によって使用されている土地
  4. 土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地
  6. 崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
  7. 通常の土地の管理を阻害する工作物や樹木、車両などが地上にある土地
  8. 除去が必要なものが地下にある土地
  9. 隣接する土地の所有者などと訴訟をしなければ使えない土地
  10. その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地

なんだか条件がいっぱいですね・・・

費用がかかります!

この法律、利用には負担金の納付が必要になります。

実際に承認を受けた場合には10年分の土地管理費用相当額の負担金の納入が必要になります。

2022年9月末の政令で負担金の計算方法が具体的になりました。

日経新聞2022.11.12マネーの学びより

市街化区域外にある土地の負担金は原則として宅地の面積に関わらず一律20万円となっています。

まとめ

保有していて特に害はなくても、「手放してすっきりしたい」気持ち、わかります

どうにもこうにもならないと諦めていた土地をお持ちの方にとっては待望の法律ができたと思います。

ただ、まだできたばかりの法律で

  • 実際にどういった手順が実際に行われるのか
  • 承認要件の難易度はどのくらいなのか
  • 費用は具体的にどのくらいかかるのか

まだ未知数です。

法律が施行された後の事例を見て、検討していきましょう。

今は何もできないですね。ですが、相続後にこの法律を利用できるといいなと思いました。希望が見えてよかったです。

ご相談、ありがとうございました。

追記:2023年2月22日より法務局で相談対応が始まりました!

全国の法務局・地方法務局の本局において、対面相談・電話相談の対応が始まりました!

相談はインターネットでの事前予約制

  • 対面(法務局・地方法務局(本局)のみ)
  • 電話相談

事前の準備資料などがありますので詳細は下記リンクでご確認ください。

相続土地国庫帰属制度の相談についての詳細はこちら

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00498.html

追記②:2023.10法務省が初めて2か所の土地を引き取ったと発表

NHKニュースより

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/488179.html

\相続は資産全体からの分析も必要です。まずはざっくりと相談してみませんか?/