相談事例

退職金の受け取り方についての相談事例

※記事中ににPRを含む場合があります

こんにちは、たぱこです(^^♪

夫が近々退職します。退職金はどのように受け取るのが一番得でしょうか?

というご相談を受けました。

事例
  • 退職金一括で受け取ると3,800万円
  • 勤続年数38年
  • 一括と10年の年金形式を併用して受け取ると合計受取額は4,500万円。年金形式で受け取ると700万円近く増額。
  • 退職後は働かない、もしくは大幅収入ダウンの予定

老後の虎の子となる退職金。

受取額を最大限にするための考え方についてお伝えしていきます!

退職金には税金がかかる

退職金は老後の大事な資金となるため、税制上で優遇されています。

とはいえ、その限度を超えると税金がかかってきます。

退職金を一時金で受け取る際の非課税枠を退職所得控除といいます。

退職所得控除計算式

  • 勤続年数が20年以下の場合:40万円 × 勤続年数
  • 勤続年数が20年超の場合:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)

例えば、この方の場合は勤続38年なので

800万円+70万円×(38-20)=2,060万円

までは税金をかからず退職金を受け取ることができます。

退職金が退職所得控除額を超える場合、課税退職所得額は以下のように計算されます。

(退職金額 – 退職所得控除額)× 1/2

この方は一括で受け取る場合、2,060万円を超えますので税金がかかります。

退職金の税金を計算するにはこちらのサイトが便利です↓

https://keisan.casio.jp/exec/system/1292387069

うわ!簡単便利!

所得税、住民税も自動計算で一目瞭然です。

退職金の額が額なので、税金の額も大きくわかりずらいですが、とにかく一括で受け取ることが一番の税優遇であることは知っておいてください。

また、一括で受け取ると

  • 他の給与所得と分離課税になる
  • 社会保険料がかからない

という点が大きなメリットです。

一時金と年金併用での受け取り

退職金にはDC(確定拠出年金)やDB(確定給付年金)も含まれます。

多くの場合、これを一時金で受け取るか、年金形式にするかを悩まれるかと思います。

年金形式の場合の総受取額を調べる

たいていの場合、年金形式にした方が、総受取額が増えます。

企業によっては終身型を選べる場合もあります。

10年受け取り、20年受け取り、終身受け取り、会社側が提供できる受け取りパターンで受け取り総額をシュミレーションしてみましょう。

運用リスクなく、受取金額を増やすことができる、ということが年金形式の最大のメリットかと思います。

年金受け取り期間中の働き方を考える

実は年金形式で退職金を受け取ると、雑所得となり、別途給与収入公的年金がある場合、合算されて総合課税となります。

そして税金だけでなく、介護保険料や健康保険料の算定額にもその年金は算入されることとなります。

となると

  • 年金以外に所得があるのか
  • 国民健康保険に加入するのか、会社の健康保険に加入できるのか

という点も検討が必要です。

受け取れる年金額は増えるけれど、税金や社会保険料の支払いがそれ以上に増えてしまう可能性もあるからです。

今回の相談事例に対する回答

ご相談を受けた時、今後は仕事を辞める、もしくはかなり収入が落ちる、という前提でシュミレーションしました。

今回の件では、年金形式にすると全体で700万円も受取額が増える、という点が私としては大変気になりました。今の時代、リスクなく、10年で700万円増やせる方法なんてありません。
(年利0.7%の個人向け国債を1億円購入した場合の利息は、税込み年間70万円)

仕事を辞める、もしくは収入減になるならば、年70万円の所得は気持ちの上で嬉しいものではないかと考えたのです。

と、ところが…驚くべき事態が…

なんと、退職後はあこがれの定年ライフを送るはずだったご主人様は、しっかりと会社に引き留められて、現役時と変わらぬ高収入での仕事を続けることになりました。

年金形式で受け取る企業年金は、高額な給与所得にさらに+アルファの所得となり、節税どころか、素晴らしい高額納税者となってしまったのでした。

まとめ

退職金、企業型確定給付年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)、iDeCoについての受け取りご相談、大変増えております。

ここで難しいのは誰一人として同じ状況はない、ということ。

  • 退職金の額
  • 企業年金の額
  • 勤務年数
  • 今後の働き方
  • 公的年金の額
  • 体調(長生きできるか)
  • 退職時の年齢(iDeCoやDCは60歳以前に受け取れない為)

等を総合的に勘案して考えます。

まず、皆さんのやるべきことは、個々の状況の正確な把握です。

人とは比較せず、自分のこれからのライフスタイルにあった受け取り方を考えていきたいですね。

今回、私はお客様に退職後の所得が高い場合の税金のリスクについて十分にお伝えしませんでした。ですので、年金受給額が増える、10年受け取りを選ばれました。

ところが、高額な退職金を受け取る方は、優秀な方ですので、退職後も当然会社は簡単に辞めさせない、この点に私の考えが及ばなかったことが悔やまれます💦

ですが、ありがたいことに「退職後も引き続き第一線で働く方の教訓にしてほしい」とブログ化の許可をいただきました。

今回の事例が皆様のお役に立てば幸いです。

今回の事例を教訓に、引き続き、全力で皆様からのご相談に対応してまいります!!

おまけ

まったく別件なのですが、昨年、退職金の受け取り方についての相談のうち、2件について共通事項がありましたので書いておきます。

  • 会社に相談したらFPということでソニー生命の営業マンを紹介された
  • そこで共通に紹介された商品は「SOVANI」という変額保険

年齢も、会社もまったく別の方、ですよ、ソニー生命の組織の強さに驚きました。

ですが、上記に示したように、退職金の受け取り方の考え方に、生命保険の要素は必要ありません。

生命保険会社の営業マンはファイナンシャルプランナーという肩書ではあるけれど、保険を売る人です。

保険を売る人に、聞くだけ聞いてありがとうございました、では済まないですね。

相談する人を間違えない、ということも大切です

困った時は、J-FLEC認定アドバイザー制度をご活用ください。

J-FLECとは、金融経済教育の機会を全国的に拡充していくことを目的として設立された官民一体の組織です。

認定アドバイザーとは特定の金融機関や金融商品に偏らない中立的な立場から、相談者や講義受講者に寄り添って、金融経済に関するアドバイスを提供する人材のことです。

詳細はこちら

https://www.j-flec.go.jp/advisors/

もちろん、たぱこはJ-FLEC認定アドバイザーです(^^)/

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