こんにちは、たぱこです(^^♪
たぱこはFPとして独立する前、信託銀行で4年ほどリテール営業として勤務しておりました。
今回のご相談をお受けした時、まさに「信託銀行の出番」だと感じました。
信託銀行ってどんなところ?ということも含めて今回の記事とさせていただきます。
ご相談内容
- 認知症の叔母Cと高齢の叔父Dの資産管理についてのご相談
- 叔父Dと叔母Cには子供なし
- 叔母Cは認知症で施設入居中
- 叔父D、叔母Cには〇千万の預金あり
- 叔母C名義でワンルームマンション(現在賃貸中)保有
- 叔父D様は自分の住んでるマンションは相談者様の息子様Bにあげたいと常日頃話している
お子様のいない叔母夫婦。
ご相談者Aさんは叔父Dと叔母Cとこの家系図のメンバーの中では一番親しい存在。
一緒に食事をしたり、叔父様は血のつながりはないものの相談者様の息子B様もとてもかわいがってくれているとのこと。
叔母Cが認知症が進んで施設に入られた為、今後どのようなことを対策しておいたほうがいいのか、というようなご相談をお受けしました。
どちらかが先に亡くなった場合の想定
どちらかが先に亡くなられた場合の法定相続割合はこちら
叔母Cが先に亡くなる | 叔父D 3/4 | E 1/8 | A 1/16 | F 1/16 |
叔父Dが先に亡くなる | 叔母C 3/4 | G 1/12 | H 1/12 | I 1/12 |
懸念すべきは、どちらが先に亡くなられたとしても相続人が4人もいる、ということ。
【叔父Dが先に亡くなった場合】
普段から叔父Dの面倒を見ているにも関わらず、この時点では相談者Aさんには相続権がないため資産は1円ももらえない。
資産の相続手続きには高齢、海外在住の兄弟との遺産分割協議が必要。そして叔母Cは既に認知症の為、署名捺印は不可能。相続人全員の署名捺印のある遺産分割協議書を作成しないと、遺産は一切動かすことはできません。
【叔母Cが先に亡くなった場合】
叔父Dの法定相続権は叔母Cの資産の3/4。叔母Cの資産は結婚前から保有していた自分のものなのに、大半が叔父Dの親族にいってしまいます。
今、やっておくべきことは?
叔母Cは既に認知症の為、残念ながら何もできることはありません。
認知症になってしまうと、契約行為は一切できなくなります。
叔母Cはワンルームマンションを保有していますが、こちらの売却は認知症の為、できません。
その1 遺言を作る
叔父Dができること。それは遺言を作成することです。
遺言を作成すればG,H,Iには遺留分(最低限相続する権利)がないため、相談者Aさんと息子Bに資産を残すことができます。
遺産分割協議書を作る必要もありませんので、残された相続手続きもスムーズにいきますね。
その2 叔父が認知症になる場合に備えて金銭信託商品で資金の管理を相談者Aに任せる
前述したとおり、認知症になってしまうと契約行為は何もできなくなってしまいます。
そして銀行預金は本人でないと引き出すことができません。
例えば、叔父Dが認知症になって施設に入ったり、入院した場合の費用はどこから出すのでしょう?
相談者Aさんが姪だからと代わりに銀行に行っても、おろすことはできないですね。
最悪の場合は成年後見制度の申し立てをすることになりますが、手続きに時間がかかりますし、とても使い勝手が悪いです。
事前に金銭信託商品にそういった場合に必要になりそうな資金を預けて、相談者Aさんを受託者として手続き指定人にしておくと、必要な場合にその資金を代わりに引き出すことが可能になります。
信託銀行の出番、役割とは?
信託銀行は資産管理、承継のプロフェッショナル。
特に遺言作成については専門の担当がおります。
ですので信頼してご相談いただいていいかと思います。
そして、認知症に備えて資産管理をお手伝いする金銭信託商品を取り扱っています。
こちらを利用すれば、自分が信頼する人に金銭の管理を託すことができます。
こちらは「信託口口座」を開設できる信託銀行ならではの商品ですね。
信託銀行に相談すれば遺言、認知症対策の資産管理、2つの事項をワンストップで相談することができます!
まとめ
たぱこが思う信託銀行の使い方についてお伝えしました。
もちろん信託銀行は頼りになりますが、それなりに費用がかかります。
ですが、ある程度資産のある方は費用をかけてきちんと対策することをお勧めしますし、その価値があると思います。
- 銀行が作成する書類は不備がありません
- 個人の弁護士や税理士などと違い、組織なので担当が変わっても安心です。倒産の心配がありません。
- 本人が銀行に行って遺言書を作成し、その執行まで銀行に依頼すれば他の相続人から不満が出ても粛々と遺言は執行され相続手続きがスムーズに行われます(←これ一番重要)
- 第3者の銀行が間に入ることで、親族間での資金管理をクリアーにすることができます
後日談
ご相談者Aさんは信託銀行に相談され、叔父Dは遺言を作ることに一度は同意され話が進みかけました。
ところが、その後叔父Dは発言が2転3転・・・。
突然「やっぱりやめる」と電話がかかってきたり、慌てて会いにいくと「やってもいい」と言ったり。
銀行とのやりとりが進まず、叔父Dの同行に振り回される日々。
そして今まで音沙汰のなかった、叔父の甥Iが突然叔父のもとに登場。
遺産目当て?果たして甥Iはどういう意図なのでしょうか?
結局、ご相談者様Aさんは例え遺産がもらえなくても、ご自分の時間を大切にしたいと叔父Dから距離を置くことにしたそうです。
銀行への依頼も白紙に。
叔父Dと叔母C。
もっと早くご自身のことを考えて、きちんと対策しておけば大切な人を失わず、安心な老後を過ごすことができたのではないでしょうか?
自分のことを大切に思ってくれる人を見抜く力が大事ですね。
おまけの注意事項
遺言を銀行に頼むと資産内容をすべて明らかにする必要があります。
遺言作成者が資産家である場合、銀行に「ロックオン」されちゃいます💦
ご資産をこのまま寝かせておくのはもったいないです。ファンドラップにして運用しながら備えませんか?
運用と相続対策はまったく別問題。
ですが、銀行はがっつりあなたの資産を狙いにきます。
「運用の勧誘は結構です」
はっきりそう伝えることが大切です。